内視鏡検査を受けた
はじめに
ちょうど上京した頃から年に数回ほど、腹痛で救急車のお世話になっている。緊急搬送先での検査では異常が見つからず、痛みが落ち着くまで様子を見たのち家に帰されてきた。
人間の腹には様々な臓器が詰まっているため、今まで大丈夫だったから次も大丈夫とは限らない。この腹痛が致命的なのか否かの判断は素人には難しい。7119番に相談すると今すぐ救急車を呼べと言われるので、申し訳なく思いつつも毎回言われた通りにしていた。
緊急搬送先では概ね、すぐに対処が必要な病気かどうかの検査がされる。僕が理解している範囲だと、虫唾炎や急性膵炎などが疑われているようだった。幸いなことに重篤な病気が見つかったことはない。対応してくれた医師ら曰く、何らかの原因で腸の働きに異常があるのだろうとのことだった。それでも断定はできないので、後日病院で検査をするよう勧められていた。
ところで人間は愚かなので、痛みが引いてしまえば面倒な検査を積極的に受けることはない。ましてや腸の働きの異常が疑われる場合に行われる検査はいわゆる内視鏡検査である。とにかく苦痛だという噂しか聞かないのだから、尚更だった。
そんな愚かな人間を検査に向かわせるのは、もちろん痛みである。突然の吐き気と徐々に強くなる腹痛には、身に覚えがありすぎた。こんな時のために常備していた市販の抗コリン薬によって、この日は事なきを得た。
なんとか激痛を回避して事で気力が温存できたことで、ついに検査を受ける決心をした。
検査
最初に結果を言っておくと、炎症もポリープもがんも見つからなかった。検査自体も寝てる間に終わったので、痛かったのは鎮静剤の点滴の注射を刺す時だけだった。
検査を受ける決心をしてからもとにかく痛いのが嫌でインターネットでぐちぐちと騒いでいたところ、鎮静剤ありで検査を実施しているクリニックを探すといいですよ、と教えてもらった。探してみると「痛みの少ない内視鏡検査」を謳うクリニックはたくさん見つかった。良さげなところの予約をとり、診察をしてもらった。
医師に症状を話したところ、やはり内視鏡検査をして異常がないことを確認する必要があるとのことで、上部内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)と下部内視鏡検査(いわゆる大腸カメラ)の予約をした。
数日前から食事を制限し、前日と当日朝に自宅で下剤を服用して検査に臨んだ。所要時間は上部内視鏡検査が10分程度、下部内視鏡検査が30分程度、とのことだった。検査の直前に鎮静剤が点滴で投与され、検査台に寝かされてすぐ意識がなくなったらしく、気づいたら検査が終わっていた。下部内視鏡検査の終わり頃にぼんやりと意識が戻り、「痛くないですか?」「婦人科の内診の方が痛いです……」といったやりとりをしたような気がする。婦人科の内診は本当に痛いです。
鎮静剤が抜けた後、その日のうちに医師から検査結果の説明を受けることができた。炎症や腫瘍はないが、胃にびらん(ポコってしたやつ)が見つかった。びらんは悪性のものではなさそうで、おそらく過敏性腸症候群だろう、と診断された。念の為びらんの生体検査が実施されて二週間ほど後に結果を聞きにいったところ、やはり問題はないとのことだった。
大きな病気が見つからず、過敏性腸症候群とはいえ慢性的な症状もないため、継続的な通院は発生しなかった。痛みは腸の痙攣によって引き起こされるとのことで、数回分の抗コリン薬を処方してもらった。痛くなり始めに服用するようにして、無くなったらまた貰いにいくことになった。
感想
結局、腹痛の発生自体をなくすことはできないらしい。ただ、今回の検査を決心したきっかけの腹痛も市販の抗コリン薬でかなり抑えられたので、処方された薬をうまく服用していけば救急車のお世話にならずに済むのではないかと思っている。
検査自体は噂より全然楽だった。なんなら鎮静剤の点滴の注射が一番怖かった。カメラを突っ込むのと並んで辛いと聞いていた下剤は、ポカリに塩を混ぜたみたいな味とレモンシロップに塩混ぜたみたいな味がした。味そのものより味の濃さと量が若干辛かったが、頑張れないほどではなかった。
おわりに
この記事を下書きに保存した2週間後にまた腹が痛くなりましたが、処方箋薬のおかげで事なきを得ました。良かったですね。